J・エドガー見てきました。
昨日公開されたレオナルド・ディカプリオの新作映画「J・エドガー」を見ました。
久々の映画館鑑賞でしたが、やっぱり映画は大きなスクリーンで見るのがいいね。
しかし私が行った大阪ステーションシネマのスクリーン3は、客席の広さに対しスクリーンが大き過ぎますな。
あれはちょっと頂けない、強いて言うなら6畳の部屋で50インチ以上の液晶テレビで見るような感じでしたね。
私が選んだ席は一番後ろの右端より少し内側に入ったところでしたが、スクリーンが大き過ぎて全体を把握するにはちょっとキツイという感じでした。
という事で劇場はイマイチでしたが、映画の内容はよかったです。
初代FBI長官J・エドガ・フーヴァーの回顧録的なストーリー展開で、過去に遡ったり現実に戻ったりで映画は進んでいきます。
この人20代で長官に就任して、70歳代でこの世を去るまで約50年間に及び君臨していたんですね。
写真はご本人の故・J・エドガー・フーヴァー長官。
TVCMでも8人の大統領が恐れた男というキャッチフレーズが流れていますが、国のトップが入れ替わってもこの人は変わらなかったのですから凄いですよね。
まぁこの権力にしがみつくには色々と画策もしているのですが、私利私欲のためではなく国の為正義を守る為に自分の私生活まで犠牲にしているんですよねこの人は。
あまり映画の中身を言うと楽しみにしている人もいらっしゃると思うので言いませんが、彼のやり方を独裁という人もいるけれど。
彼の残した功績は、大変大きなものです。
FBIを大きな組織に作り上げたことも挙げられますが。
現在の指紋照合やDNA鑑定など、現在なくてはならない科学捜査の基盤を作ったりしています。
その反面私生活において、フーヴァーは生涯独身で母親が死ぬまで同居していますがとても幸せとは言えない人生ではなかったかと思う。
それは幼少の頃彼の母親の過剰な期待と歪んだ愛情のせいで、彼は人としての温かさと本当の愛情を知らないまま生涯を閉じてしまったような気がします。
この歪んだ母親の愛情が、彼の偏ったような独裁を作り上げるきっかけになったのかもしれません。
フーヴァーの母親の口癖は、「決してお父さんのようにならないで。お前は一族の誇りとなるのです」でした。
5歳か6歳の幼い頃に母親からその言葉を聞かされ、フーヴァーは忠実にその言葉通りに母親の期待に背かないように生きていきます。
映画の最初の方で老人が家の外のバルコニーで、「手を貸してくれ」とエドガーに言いますが彼は無視して家に入って行くシーンがあります。
最初は近所の爺さんかと思ったけど、後でその老人が彼の家に入って来た時ゾッとしましたお父さんだったんですねその老人が。
幼少の頃に聞かされ続けた、母親の言葉とは恐ろしいものです。
そしてこの母親の恐ろしいのは、あるエピソードをエドガーと話すシーンがあるのですがそこで「女々しい息子なら死んでくれた方がいい」と母親が言い放つ場面があります。
こんな言葉を聞かされた息子の心情はいかばかりか、そう思うと私はエドガーに同情の念を送りたくなりました。
現にエドガーの母親が死んだ時、彼はその女々しい息子がした行為をマネて泣き崩れます。
その時の彼は「母さん僕だって決して強い人間ではないんだ。弱い息子でも愛してくれよ母さん」と心の中で叫んでいたような気がして涙が出そうになりました。
生涯独身と言えば、副長官のトルソンも同じ。
この二人の間には同性愛の噂があるようですが、真実かどうかはわかりません。
ただトルソンの方は、女性に興味がないことを宣言してますけど。
この二人は昼食か夕食を必ず一緒に摂るという事が約束されてまして、またトルソンは最後までフーヴァーに忠誠心を持っていました。
このトルソン役を演じた、アーミー・ハマーはなかなかの実力派俳優さんで今後大注目です。
今作でもセリフの少ない静かな役どころですが、印象に残る演技力で魅せてくれました。
アカデミーの助演男優賞にノミネートされてもおかしくないと思いますが・・・・・なぜ漏れたんでしょうねぇ。
印象に残ると言えば、フーヴァーの生涯の秘書ヘレン・ガンディも生涯独身。
彼女は一度フーヴァーにプロポーズされていますが、結婚より仕事を選びそれ以後彼の秘書になります。
ナオミ・ワッツが演じていましたが、これもまた静かな熱演というか見ごたえのある演技でした。
このガンディ女史も最後までフーヴァーへの忠誠心に徹した人で、彼の持つ機密ファイルを守り抜きます。
トルソンにしてもガンディ女史にしても、影の独裁者と言われるフーヴァーにそこまで忠誠心を持つということは彼が怖いのではなく。
フーヴァーに独裁者だけではない、何か彼に心酔出来る魅力があったのではないかと思えてならない。
正義という面において、フーヴァーほど真剣に向き合った人物はいないのではないか。
それは映画の終盤で彼の述懐にある「歴史は繰り返される、歴史を忘れてはいけない」や、「善き人が手をこまねいている間に悪は繁栄する」という言葉が物語っていると思う。
平和が当たり前になった世の中に対しイーストウッド監督は、今作を通じてこの言葉を伝えたかったのかもしれない。
そして映画のラスト、さすがのフーヴァーも年には勝てず終焉の時を迎えますが。
誰にも看取られず一人で逝ってしまう姿は本当に悲しい。
可哀そうな人だったなぁという思いで胸が一杯になってしまいました。
この人のやり方には問題もあるけれど、私はなぜか憎めない。
私はこの映画好きですね、何度も見たい映画で個人的に殿堂入りです。
来週の水曜日、時間が出来れば今度は違う劇場に見に行こうかな。
左が高齢になった本人、右がディカプリオ。
よく似せて作っていると思う。









